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【書評】新潟国際情報大学教授、矢口裕子が読む『ヘンリー・ミラー・コレクション16 対話/インタヴュー集成』 白眉はメイラーとの会談

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新潟国際情報大学教授、矢口裕子が読む『ヘンリー・ミラー・コレクション16 対話/インタヴュー集成』 白眉はメイラーとの会談

ヘンリー・ミラー・コレクション16 ヘンリー・ミラー・コレクション16

 ヘンリー・ミラーの名を世に知らしめたのは『北回帰線』をはじめとする自伝的小説群、赤裸々な性表現からそれらが発売禁止処分を受けたこと、ホキ徳田を含む5人だか8人だかの妻をもっていたことなどである。一人称のモノローグを書き続けたミラーのダイアローグを収めた本書がコレクションの最終巻を飾るのは、小説を書くことより手紙を書くことに時間を費やしたというミラーには、案外似つかわしいのかもしれない。

 『北回帰線』の発禁が1961年に解かれて以降の対話・インタビューがほとんどで、話題は多岐にわたる。アメリカの女は芸者を見習えという期待にたがわぬ不規則発言が飛び出すかと思えば、「ワインを飲み込んだ仏陀」にふさわしい洞察を感じさせる言葉も語られる。

 が、白眉は米谷ふみ子による「ミラー、メイラー会談傍聴記」に尽きる。「どんなすけべえじじいかしらという好奇心」から出かけたという米谷が、ミラーの「チャーミングなおじいちゃん」ぶりに魅了されていくさまが活写される。しかも、大阪出身の米谷にミラーのブルックリン訛(なま)りは大阪弁に聞こえるというので、「もう手足が不自由であきまへんねん」(ミラーはこのとき85歳)という調子で終始訳されている。

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