産経ニュース

【聞きたい。】安部龍太郎さん『家康(1)自立篇』 「経済」の視点からたぬきおやじの通説覆す

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【聞きたい。】
安部龍太郎さん『家康(1)自立篇』 「経済」の視点からたぬきおやじの通説覆す

直木賞作家、安部龍太郎さん(寺河内美奈撮影) 直木賞作家、安部龍太郎さん(寺河内美奈撮影)

 たぬきおやじ、神君、がまんの人…徳川家康のイメージはこんなところか。その通説を根本から覆してみたいという。新たな視点は「経済」である。

 入り口は信長だった。

 「信長という男がどうしても分からない。だから取材をし(小説を)書くことによって分かろうとした。20年かかって得た結論はこれまでの『戦国史観』が間違っていたことです」

 戦国から安土桃山に続く時代は空前の「高度経済成長期」だった。世界は大航海時代。日本も石見(いわみ)銀山などに代表されるシルバーラッシュに沸き、それらを東南アジアへ輸出し、南蛮貿易が栄える。カネをつかんだ者が天下に近づいた。

 「信長は『流通』を支配した大名です。伊勢湾や木曽川の海運から琵琶湖を抑え、流通事業で稼ぐ。堺の商人と組んで鉄砲と火薬の原料を抑えてしまう。若き家康は、この偉大な先生から経済を学ぶのです」

 徳川家の所領、三河は今川、武田、織田に挟まれた小国。外交戦だけでは生き延びることはできない。カネを稼ぎ、絶対的な武器である鉄砲をどうしても入手せねばならなかった。

 「家康が変わるのは今川方の武将として桶狭間(おけはざま)の戦いに敗れてからでしょうね。当初は信長のルートに乗っかりながらも最終的に選択した経済体制は違う。信長・秀吉が『重商主義・中央集権』とすれば、家康は『農本主義・地方分権』を選ぶ。それで江戸260年の平和が実現した」

続きを読む

このニュースの写真

  • 安部龍太郎さん『家康(1)自立篇』 「経済」の視点からたぬきおやじの通説覆す

「ライフ」のランキング