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教え子のため虚子に掲載依頼 漱石の書簡8通発見

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教え子のため虚子に掲載依頼 漱石の書簡8通発見

佐瀬蘭舟に宛てた夏目漱石の書簡 佐瀬蘭舟に宛てた夏目漱石の書簡

 夏目漱石(1867~1916年)が、旧制一高の講師だったときの教え子で歌人の佐瀬蘭舟(本名・武雄、1881~1946年)宛てに書いた書簡8通が見つかった。うち4通は、佐瀬の小説を雑誌「ホトトギス」に掲載してもらおうと主宰者の俳人、高浜虚子に掛け合い、佐瀬を激励したことが分かる内容。横浜市の神奈川近代文学館で、来年1月22日まで公開されている。

 新たに見つかった書簡は8通だったが、うち3通は印刷年賀はがき、1通は封筒のみ。佐瀬宛ての文面のある書簡は4通で、漱石が朝日新聞社に在籍していた明治40年から43年に書かれた。

 今年7月に佐瀬の遺族が、既に知られている書簡も含め計12通を同館に寄贈した。

 41年6月26日の書簡では、漱石が虚子に渡した佐瀬の小説の原稿について、虚子が「前回のよりも余程劣る、折角前のがよかつたのだから是を出すのは本人の為めにもよくあるまい」として返却されたことを伝えた上で、「御工夫あり度く存候」と奮起を促している。

 既に全集に収録されている40年10月25日の書簡には、佐瀬の小説「葦切」について「頗る雅な寂た面白味がある」と褒めた上で、掲載場所を探すつもりであることが記されている。「葦切」は「ホトトギス」40年12月号に掲載された。この他、全集などに掲載された書簡と併せて読むと、小説の執筆に忙しい日々を送っていた漱石が、教え子のために親身になっていたことがうかがえる。

 佐瀬は家族の反対で文学の道を断念、京都帝大を卒業後、南満州鉄道などの技術者として働いた。

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