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【書評】東京大学准教授・阿部公彦が読む『村上春樹と私』ジェイ・ルービン著 寡黙で義理堅い作家の素顔

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東京大学准教授・阿部公彦が読む『村上春樹と私』ジェイ・ルービン著 寡黙で義理堅い作家の素顔

「村上春樹と私」 「村上春樹と私」

 当然、翻訳者にはかなりの見識が必要になる。本書を手に取る人の多くが村上春樹ファンだろうが、軽妙でかつ洞察力に富んだ文章を読み進めるうちに著者のルービンにも興味が湧いてくるはずだ。ハーバード大学の名誉教授。研究者として取り組んだテーマは近代日本文学と「検閲」。国家によるものだけでなく、戦後の占領軍による検閲にも焦点をあてたその議論は学問的にも奥行きがある。小説家としてもデビューした。日系移民の収容所問題を描いた夫人との共著『日々の光』は、完成から30年のときをへてついに刊行されたばかり。気楽に頁(ページ)をめくれる本書だが、その楽しみ方はひと通りではない。(東洋経済新報社・1500円+税)

 評・阿部公彦(東京大学准教授)

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