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【温故地震】都司嘉宣 和銅遠江地震(715年) 巨大な土砂ダムで洪水被害

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【温故地震】
都司嘉宣 和銅遠江地震(715年) 巨大な土砂ダムで洪水被害

佐久間ダム(国土交通省浜松河川国道事務所提供) 佐久間ダム(国土交通省浜松河川国道事務所提供)

 古代の朝廷の公的な歴史記録(正史)の一つである「続日本紀」には、8世紀初頭の和銅8(715)年5月25日に遠江国(静岡県西部)と三河国(愛知県東部)の周辺で発生したマグニチュード(M)6・5~7・5の地震の被害状況が書き記されている。

 本稿では和銅遠江地震と呼ぶことにするが、この地震で山崩れが発生し、天竜川をせき止めて土砂ダムが形成され、水が流れなくなった。数十日後にせきが決壊して下流の敷智郡、長下郡、石田郡の平野部に洪水をもたらし、民家170区画以上が水没。農作物にも大きな被害が生じたという。

 この記録から、土砂ダムにいったんたまり、下流域を襲った水のおよその体積を見積もってみよう。

 長野県の諏訪湖を水源とし静岡県で遠州灘に注ぐ天竜川の流量は、国土交通省の天竜川鹿島観測所の過去10年の平均で毎秒211・5立方メートル。せき止められた数十日を40日と見なすと総量は7億3094万立方メートルになる。

 土砂ダムが形成された正確な位置は不明だが、両岸に急斜面の山が迫っている場所でなくてはならないはずだ。流域でその条件に合うのは、浜松市天竜区から長野県天龍村までの約40キロの区間に絞られる。これより上流は盆地状の地形で、下流は平地のため、いずれも土砂ダムの形成には向かないからだ。

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