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【白洲信哉 旅と美】神宿るご神木信仰(小宮御柱祭)

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【白洲信哉 旅と美】
神宿るご神木信仰(小宮御柱祭)

 諏訪大社御柱祭(おんばしらさい)は、数えで7年に1度、寅年と申年に行われ、日本三大奇祭の一つとされる。正式名称は「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」といい、上社の前宮と本宮、下社の春宮と秋宮の二社四宮の社殿の四隅に、「御柱(おんばしら)」と呼ばれるモミの巨木を山から運んで建てる神事である。

 僕は今年で4回り目、すっかり御柱に魅せられた。上社の「川越し」や下社の「木落し」など、観光客のあふれる見どころを見聞してきたが、諏訪地方の6市町村に点在する大小さまざまな神社それぞれに、御柱が建てられる「小宮御柱祭」に初めて参拝した。

 諏訪大社の祭祀(さいし)をつかさどった守矢(もりや)家の土着神、ミシャグジに、足長神社、手長神社と、恐らく諏訪大社より古くから居る神々の御柱には、神宿るご神木信仰と、山の命を頂くという縄文狩猟民族の原点を考えさせられた。

 祭りの合間の木やり唄に「協力一致で」と唱和し、夫婦神の足長と手長が互いの短所を補う伝説に、共同作業の積み上げが、柱の大小以上に肝要なのだと直覚。

 僕は、細石(さざれいし)が集結して、一致団結、巌(いわお)となって、苔(こけ)がむすという「君が代」の歴史を体感したのだった。

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【プロフィル】白洲信哉

 しらす・しんや 文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。平成25年から骨董(こっとう)・古美術の月刊誌『目の眼』編集長。

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