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【健康カフェ(56)】インスリン注射 早めに使って膵臓機能回復も

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【健康カフェ(56)】
インスリン注射 早めに使って膵臓機能回復も

 他の病院で糖尿病の治療をしている70代の女性がクリニックを受診しました。女性は5年前にインスリン治療を始めたのですが、1日4回の注射が煩わしく、注射の回数を減らしたりやめたりできないか主治医に相談したものの取り合ってもらえず、私の外来を受診したとのことです。

 糖尿病のコントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー、過去1~2カ月の血糖値の平均)は6%台で、良好な状態を保っています。血液検査で女性の膵臓(すいぞう)からのインスリン分泌を見たところ、悪くはなさそうなので、まずは注射の量を減らしていきました。その後、内服薬を使いながら注射の回数も減らし、最終的に少量の内服薬だけで血糖値がコントロールできるようになりました。女性は「注射を持ち歩くのがおっくうで旅行もやめていましたが、久しぶりに温泉に行ってきました」とうれしそうです。

 インスリン治療というと、かつては「最後の手段」といったイメージがあり、医師も生活習慣を改めない患者さんに「インスリンになってしまいますよ」と話すことがありました。実際、これまでは、血糖がコントロールできず、網膜症や腎症などの合併症が進んでしまった患者さんに使う傾向がありました。

 近年、早めにインスリンを使って膵臓を休ませることが、膵臓の機能回復につながることが分かってきました。一度始めたインスリンをやめたとしても、その後に良好な状態が保てるとして、積極的に治療に取り入れられています。

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