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山本一力さん、落語小説集「芝浜」刊行 より細やかに江戸の心情

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山本一力さん、落語小説集「芝浜」刊行 より細やかに江戸の心情

「小説を書いて、落語がますます好きになった」と話す山本一力さん 「小説を書いて、落語がますます好きになった」と話す山本一力さん

 時代小説の名手、山本一力さん(68)が、落語小説集『芝浜』(小学館)を刊行した。江戸時代の人情噺(ばなし)を小説化するユニークな試み。山本さんは「落語は、物語をぎゅっと凝縮したエキスのようなもの。ゼロから登場人物を作り物語を組み立てるよりも、ずっと難しかった」と話している。

 酒好きで怠け者の魚屋が大金の入った財布を拾ったが、女房から夢だと信じ込まされる「芝浜」、一文なしの絵描きが宿代の代わりに描いた絵が評判を呼ぶ「抜け雀」、歌舞伎役者が主人公の「中村仲蔵」など、人気演目を題材にした5作を収録した。

 表題作の「芝浜」は、桂三木助、立川談志ら4人の名人の高座を“肥やし”に、落語の演出以上に時代背景や登場人物の心情を詳しく描写し、物語の奥行きを広げた。「落語では、女房が亭主をだましたことを謝り亭主が怒る場面があるが、人の心はそうじゃない。亭主はカミさんへの感謝の思いしかないはずだ」

 夫を立ち直らせるために一世一代の嘘をついた妻と、その嘘を許し感謝する夫婦の愛情をほろりと描くあらすじはそのままに、より細やかに江戸の街並みや夫婦の生活が活写される。「口伝の落語にはない部分を新たに構築したり、すっと流す部分をしっかり描いたり、小説ならではの楽しみがあった」と山本さん。

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