産経ニュース

【書評】参議院議員、中山恭子が読む『「海道東征」への道』新保祐司著 「戦後」への根源的な問い

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【書評】
参議院議員、中山恭子が読む『「海道東征」への道』新保祐司著 「戦後」への根源的な問い

『「海道東征」への道』新保祐司著 『「海道東征」への道』新保祐司著

 本書は、新保祐司氏が産経新聞「正論」欄に執筆した10年間の文章の集大成である。氏は、戦後「封印」されてきた信時潔の交声曲「海道東征」の復活公演という歴史的事件が、戦後日本の精神を転換するために必要な支点になりうるのではないかと言う。

 本書を貫いているのは日本とは何かという問いかけである。私自身、若い頃留学生としてパリに住んで、西欧文明の素晴らしさに驚嘆すると同時に、「日本には、それとは違う趣の文化がある」と思い、自分は日本の文化を身につけた者であることを誇りに思って生きてきた。正にわが意を得たりの書である。

 戦後70年をへて「日本人は精神の芯をおおかた失ってしまった。戦後民主主義の下で日本人であることからあまりにも離れてしまった現在の日本人は、改めて『日本人にかえ』らなければならなくなった」との指摘には、心から同感する。戦前の日本を貶(おとし)める動きについては、嫌悪感を抱くだけではなく「自ら大東亜戦争とは一体何であったのかという大いなる問いに向き合わなければならないのではないか。思えば、この問いを『戦後民主主義』下の物質的繁栄を謳歌(おうか)することにかまけて忘れてきたのである」という。この問いに日本全体で答えを出さない限り、日本の戦後は終わらない。

続きを読む

「ライフ」のランキング