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【書評】東大社会科学研究所准教授、ケネス・盛・マッケルウェインが読む『憲法改正とは何か アメリカ改憲史から考える』阿川尚之著 改憲の鍵は「正当性」確保

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【書評】
東大社会科学研究所准教授、ケネス・盛・マッケルウェインが読む『憲法改正とは何か アメリカ改憲史から考える』阿川尚之著 改憲の鍵は「正当性」確保

『憲法改正とは何か アメリカ改憲史から考える』阿川尚之著 『憲法改正とは何か アメリカ改憲史から考える』阿川尚之著

 アメリカ合衆国憲法は1787年の制定後も改正を重ね、社会の発展に影響を及ぼしてきた。本書は憲法制定時から問題だった連邦と州のパワーバランスについて、それが根本的に変わった3つの時代(独立から憲法制定、南北戦争から南部再建、世界大恐慌から第二次世界大戦)に注目し、国の存続さえ危ぶまれる社会的・経済的危機を迎えた時、米憲法の持つ「正当性」と「柔軟性」がその永続性につながったと主張する。

 憲法に拘束力を持たせるには、条文を破った権力者に有権者がペナルティーを科さなければいけない。そのためには国民が憲法を「正当」とみなす必要があるのだが、では国民の理解と信頼はどう形成されていくのか。阿川氏は米国独立から憲法制定までの政治的状況や法的議論を追い、憲法が正当性を得るには民主的な制定はもちろん、有権者の意識変化とともに変わる必要があると説明する。

 本書の主題は米憲法がいかに「柔軟」に変わったかにある。改正プロセスの一つは正式な憲法典の修正で、もう一つが条文の解釈変更だ。米憲法は(日本国憲法と同様)比較的短く、予期せぬ事例にどう条文を適応すべきか必ずしも明確ではない。だから立法府、行政府、司法府は、各々(おのおの)の権力を守るために独自の憲法解釈の正当性を国民に訴える。

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