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杉本博司「ロスト・ヒューマン」展 文明終焉、33のシナリオとは…

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杉本博司「ロスト・ヒューマン」展 文明終焉、33のシナリオとは…

シュールで背徳的な香りもする「耽美主義者」の展示 シュールで背徳的な香りもする「耽美主義者」の展示

 ニューヨークを拠点とし、「ジオラマ」「劇場」「海景」シリーズなど大判カメラを用いた精緻な写真表現で知られる杉本だが、「今日-」の展示も写真作品「海景」で始まり「海景」で終わる。つまり「人類の誕生前の海」と、何もなかったかのようにたたずむ「文明滅亡後の海」だ。

 欲望のまま拡大を続ける資本主義社会や地球環境の危機に対し、杉本は“終末”を強く意識しつつ「そうなってはいけないという警鐘として、歴史を物に語らせる展覧会をしたかった」と語る。一方で、「日本文学の通奏低音として流れる諸行無常や滅びの美に魅せられる」とも。

 実は展覧会は3部構成になっており、「今日-」に続くのは世界初公開の「廃墟劇場」。1970年代から制作する「劇場」を発展させた新シリーズで、全米各地の廃墟と化した劇場を探し出しては、機材や自ら選んだ映画を持ち込み、上映1本分の光量で長時間露光した作品だ。朽ちてゆく劇場の壮麗な装飾が、かえってもののあわれを感じさせる。杉本は「滅びの美学をどう現代に見せるか」に腐心したという。

 最後は京都・三十三間堂の千体仏を、早朝の自然光で写した圧巻のシリーズ「仏の海」。滅びの後に杉本が用意したのは「救済」だった。千体の千手観音は果たして、迷える衆生をお救いくださるだろうか-。

 11月13日まで、月曜休。一般1000円。問い合わせは(電)03・3280・0099。

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