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杉本博司「ロスト・ヒューマン」展 文明終焉、33のシナリオとは…

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杉本博司「ロスト・ヒューマン」展 文明終焉、33のシナリオとは…

シュールで背徳的な香りもする「耽美主義者」の展示 シュールで背徳的な香りもする「耽美主義者」の展示

 2年間の大規模改修を経て、3日に再オープンした東京都写真美術館(目黒区)。リニューアルを飾るのは現代美術家、杉本博司(68)の「ロスト・ヒューマン」展だ。ピカピカに新装されたはずが、展示室に一歩入ると、そこは錆(さ)びたトタンや木材に囲われた廃墟。「文明の終わり」を示したインスタレーションだった。(黒沢綾子)

 「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」

 カミュの小説『異邦人』の有名な書き出しをもじって杉本が提示するのは、文明が終わる33通りのシナリオ。シナリオはそれぞれ、ある職種や背景を持つ33人の“最後の証言”のかたちを取っている。宇宙飛行士、政治家、比較宗教学者…。手書きのテキストを取り囲むように、杉本自身の写真作品と収集した古美術、化石、資料などで構成された33のインスタレーションが展開される。

 例えば「ロボット工学者」は、人間が楽をしたばっかりに世界が壊滅するシナリオ。工学者の後悔をあざ笑うように、機械仕掛けの文楽人形の首がうごめく。また「耽美(たんび)主義者」の小部屋には、美少年の能面と能装束をまとった模造ミイラが横たわり、18世紀フランスで印刷された鮮やかな解剖図が壁に掛けられている。さらに「国際連合事務総長」の回想文に添えられるのは、ボロボロの国連の旗と「本日休業」の看板。杉本が紡ぐ物語はいずれも、荒唐無稽な空想と「そうなるかもしれない」というリアリティー、痛烈な皮肉が混じり合っている。

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