産経ニュース

【話の肖像画】作家・村松友視(3)唐十郎を発掘した編集者時代

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
作家・村松友視(3)唐十郎を発掘した編集者時代

直木賞を受賞したときの祝賀パーティーで。前列中央が本人。唐十郎(右隣)もお祝いに駆けつけた =昭和57年(文芸春秋社提供) 直木賞を受賞したときの祝賀パーティーで。前列中央が本人。唐十郎(右隣)もお祝いに駆けつけた =昭和57年(文芸春秋社提供)

 〈大学時代の不勉強がたたり、就職活動は難航したが、祖父、村松梢風(しょうふう)と仕事でつながりがあった中央公論社に縁故入社。編集者として「小説中央公論」「婦人公論」「海」などを担当した〉

 昭和44年に中央公論社で初めて発行した文芸雑誌「海」が創刊されることになり、立ち上げを前に新雑誌研究部というセクションに配属されました。部長、次長、平社員の3人がいて、僕が平。創刊のあとは、吉行淳之介さんや野坂昭如さんなどの作家を担当するようになり、ここで初めて僕と文学を結ぶ筋道が点線から実線となりました。そのとき僕はまだ作家になろうという気持ちなどなかったし、そもそも同人雑誌や文芸クラブなどに所属したことも一切なかった。仕事を通じてかろうじて文学と縁をもったという感じです。

 僕は「海」で他の雑誌が全然手を付けない新人に作品を書かせたいと考えていました。既成の作家の中にもすごい人はいるけれど、文壇外の作家を探し出すのが僕の本当の役目だという強い意識がありましたね。

続きを読む

「ライフ」のランキング