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【大学ナビ】針路を聞く 東京電機大学・安田浩学長

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【大学ナビ】
針路を聞く 東京電機大学・安田浩学長

 ■新設学部でも「ものづくり人材」

 東京、埼玉、千葉にキャンパスがある東京電機大学は「就職に強い大学」として定評がある。科学技術立国の日本を支える技術者を輩出してきた同大学に来年、新学部のシステムデザイン工学部が開設され、工学部にも3学科が新設される。新学部や新学科では、どのような教育が行われるのか。安田浩学長に聞いた。(編集委員 斎藤浩)

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 --明治40年創立の前身の電機学校から始まり、昭和24年の東京電機大学の開設を経て、多くの卒業生を社会に送り出してきた

 「カシオ計算機の創業メンバーである樫尾(かしお)俊雄氏は電機学校での勉強がその後の開発で生きたと回想しています。ホンダのロボットASIMOの開発に関わった重見(しげみ)聡史氏も卒業生です。初代学長の丹羽保次郎先生が目指したものづくりのできる人材の育成が、大学の精神です。資源の乏しい日本は、人材が頼りですが、電機学校以来約21万人の卒業生が各界で活躍しています」

 --建学の精神などは

 「建学の精神は『実学尊重』。理論を学ぶだけでなく、実際の社会で役に立つことを目標としている。教育理念は『技術は人なり』。いろんな経験をして、良いものを作るために、人間を磨けということです。就職に強いといわれるのは、この2つの方針で、ものづくりができる技術者を育成しているからだと思います」

 --新学部での教育は

 「新学部のシステムデザイン工学部には、情報システム工学科とデザイン工学科が設置されます。情報システム工学科はビッグデータの分析・解析など高度情報システムを構築できる人材を育成します。デザイン工学科は、利用者の目線や使い勝手を意識したものづくりの基礎から、3Dプリンターを使った先端までの過程を学びます。いずれもこれからの時代に必須の実学です。卒業後の進路としては、いろんな業種の開発企画の部門が考えられます」

 --工学部の新3学科は

 「電子システム工学科では、スマートフォンやLED照明など現在の製品の基礎となる電子、光、情報についての技術を学びます。応用化学科は、化学工学などによる素材・技術開発を、先端機械工学科は医用や精密機械加工などの先端工学を学びます。いずれの学科も今後のものづくりに必要で、従来の工学部の学習にプラスアルファした新しい分野といえます」

 --来年、東京千住キャンパスに新校舎が完成する

 「新校舎には、レーザー加工機や3Dプリンターなどの最新設備をそろえたものづくりセンター(仮称)が開設されます。頭と手を同時に働かせながら、ものづくりの力をつけてもらいます。さらに、大学院を充実させて、大学からの6年一貫教育で学生を育てます。サイバーセキュリティーなど現代社会が求める重要な研究分野にも取り組みます」

 --少子高齢化が大学や技術者育成に与える影響は

 「日本の産業を考えたときに少子化は、労働力の確保という問題であり、高齢化はどういった技術でお年寄りを支援するのかという課題につながります。これらの解決には、工学系の技術が必要です。つまり、工学系の学生には、少子高齢化対策の技術開発に参加するチャンスが巡ってきます。東京電機大学は、学生にチャンスを生かすことができる基盤を身につけさせ、第4次産業革命でも活躍、貢献できる人材と産業の育成を進めるつもりです。ですから、うちの大学は、少子化による受験者の減少は少ないでしょう(笑)」

 --女子学生の在籍は

 「今年度の全学部生9105人中、女性は約1割。ものづくりには女性の目線が必要です。もっと多くの女子学生に学んでもらえるよう環境をさらに充実させます」

 --イメージキャラクターに平成18年から「鉄腕アトム」が使われている

 「アトムはいつも大きな目で先を見据えています。学生の成長やものづくりの今後を未来志向で考えているという大学の願いが込められています」

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【プロフィル】安田浩

 やすだ・ひろし 昭和19年生まれ。同47年東大院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了、同年日本電信電話公社(現NTT)入社、平成7年NTT理事、同9年東大教授、同19年東京電機大教授。東京都出身。72歳。専門は応用情報工学。

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