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【書評】産経新聞ソウル駐在客員論説委員、黒田勝弘が読む『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』李相哲著

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【書評】
産経新聞ソウル駐在客員論説委員、黒田勝弘が読む『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』李相哲著

『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(李相哲著、産経新聞出版) 『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(李相哲著、産経新聞出版)

複雑かつ凄絶な家族の物語

 これは実に面白い本である。北朝鮮関係の本では出色の面白さだ。王朝国家とか世襲国家といわれる北朝鮮を文字通り“ファミリー・ストーリー”で描いているからだ。

 今の北朝鮮の「国のかたち」を作ったのは、父、金日成(キム・イルソン)から権力を受け継ぎ、息子の金正恩(ジョンウン)にバトンタッチした金正日(ジョンイル)であることがよく分かる。金正日の生涯を追いかけたこの本は、北朝鮮のナゾを解くミステリー本といってもいい。かなり分厚いけれど読みやすく、決して損した気分にならない。北朝鮮が気になる人にはこの夏おすすめの本である。

 生母が早死にした金正日は、まず父の弟や継母、その息子(異母弟)との権力闘争があった。また自らには3人の妻がいて、その妻および子供たちとの複雑な関係に悩まされた。子供たちのうち、他人の妻を奪ってできた最初の子供で最もかわいがった不憫(ふびん)な長男、金正男(ジョンナム)は遠ざけられ、在日朝鮮人出身の3番目の妻が生んだ三男、金正恩が後を継ぐ。彼はすぐ長男と近かった叔母の夫を殺し、血のつながった叔母も遠ざけてしまった。

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