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【書評】文芸評論家、細谷正充が読む『犬死伝 赫ける、草莽の志士』小嵐九八郎著 倒幕に殉じた革命家を描く

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【書評】
文芸評論家、細谷正充が読む『犬死伝 赫ける、草莽の志士』小嵐九八郎著 倒幕に殉じた革命家を描く

『犬死伝 赫ける、草莽の志士』小嵐九八郎著(講談社・1900円+税) 『犬死伝 赫ける、草莽の志士』小嵐九八郎著(講談社・1900円+税)

 東征隊の先触れ役であった“赤報隊”は、味方から偽官軍の汚名を着せられ、壊滅した。赤報隊隊長の相楽総三も仲間たちとともに、斬首されている。この一件で、維新史の汚点となった総三たちは、長らくタブー視されてきた。だが、長谷川伸が戦前に刊行した史伝『相楽総三とその同士』によって、その実像が明らかにされたことで名誉が回復。以後、小説の世界でも、赤報隊と総三が取り上げられるようになった。本書は、その『相楽総三とその同志』を底本とした歴史小説だ。

 郷士の跡取りである小島四郎は、聡明(そうめい)だが頑固な若者だ。15歳のとき、父が地主になっている下総の地を旅した四郎は、農民の過酷な生活と、自分が彼らを搾取する側に居ることにショックを受ける。幕末の世相の中で、さまざまな知識を蓄え、現実を見た彼は、やがて「倒幕」と「年貢半減」を目指して青雲隊を結成。しかし、他勢力とともに決起したところ、すぐさま潰された。

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