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【書評倶楽部】『炎と苗木』田中慎弥著には「壇ノ浦文学」の系譜が潜む 京セラ元会長・伊藤謙介

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『炎と苗木』田中慎弥著には「壇ノ浦文学」の系譜が潜む 京セラ元会長・伊藤謙介

元京セラ会長の伊藤謙介さん 元京セラ会長の伊藤謙介さん

 気鋭の作家、田中慎弥氏は山口県出身だ。壇ノ浦をのぞむ風土は、中原中也や種田山頭火、金子みすゞなど、特異な作家を育んできた。なかでも耽美(たんび)派の俊英、赤江瀑のめくるめく情念の世界は、私をとりこにした。

 残念ながら平成24年、赤江は壇ノ浦を見下ろす小さな家で生涯を閉じた。くしくもその年、「共喰い」で芥川賞を受賞したのが田中慎弥氏だ。赤江は生前、田中氏に会うことを望んでいたという。

 そんなことが脳裏に残っていたせいか、書店ですぐに目に飛び込んできた。

 本書は44編からなる小説集だ。一編は3ページほどの掌編ばかりだが、田中ワールドが凝縮されている。一編読むごとに頁を閉じ、奇妙な世界を彷徨(さまよ)うこととなった。

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