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【からだのレシピ】ドライアイの新薬開発へ弾み 涙の分泌増やす機構を解明

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【からだのレシピ】
ドライアイの新薬開発へ弾み 涙の分泌増やす機構を解明

 星薬科大学(東京都品川区)の塩田清二特任教授、富山大学(富山市)の中町智哉助教らのグループが、涙の分泌に関わる新たな機構を解明した。このことは6月28日号の科学誌(Nature Communications)にも掲載された。

 人はまばたきをすると涙が眼球の表面を覆い、乾燥することを防ぐ。ところが何らかの原因で涙の分泌量が減ると、乾燥だけでなく、異物感、痛み、疲れといったドライアイ(眼球乾燥症)が生じる。さらに現代人は、パソコンやスマートフォンの長期使用、コンタクトレンズの装着、エアコンによる空気乾燥などの環境的要因も加わり、ドライアイを発症しやすい。しかしこれまで、涙液分泌を促進させる研究はほとんど進んでいなかった。

 塩田教授らの研究グループは、神経ペプチドの一種である下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)に着目して研究を進めた。この遺伝子を欠損させたマウスがドライアイに似た症状を呈したことから、PACAPが涙液分泌に関与しているのではないかと考えたのだ。その結果、PACAPが涙液を産生する涙腺腺房細胞のPAC1-Rと結合し、アクアポリン(AQP)5の細胞質から細胞膜への移動を誘導して細胞膜に水チャネルを形成することで水分子の輸送が促進され、涙液分泌量が増加することを明らかにした(図)。

 今後は、ドライアイ発症の原因にPACAPが関わっているかを明らかにするとともに、PACAPおよびその誘導体を使ったドライアイ治療薬の開発に向けて、安全性試験を含めた臨床研究を進めていくという。わが国のドライアイ患者は800万~2200万人とも推定されている。ドライアイの予防、治療の画期的な創薬が期待される。

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