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【世界勲章物語】金羊毛勲章 「欧州最高の格式」の数奇な運命 関東学院大教授・君塚直隆

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【世界勲章物語】
金羊毛勲章 「欧州最高の格式」の数奇な運命 関東学院大教授・君塚直隆

 前回(6月16日本紙掲載)で紹介したガーター勲章と同じように、この勲章も中世に創始された金羊毛騎士団に由来する。もともとは1430年に、当時のヨーロッパ北部で最大の財力を誇ったブルゴーニュ公爵家の栄誉であった。それが最後の女性継承者マリアが嫁いだ先であるウィーンのハプスブルク家に、ブルゴーニュ家の全財産とともに引き継がれたわけである。やがてハプスブルク家が欧州最大の勢力と格式を誇るようになると、この勲章を授与されることは「一流の仲間入り」を意味するようになった。

 やがて16世紀半ばにハプスブルク帝国がスペインとオーストリアのそれぞれの家に分かれ、18世紀にスペインに新たにブルボン王朝が登場するようになると、金羊毛勲章もそれぞれの君主から授与される栄誉へと枝分かれしていった(1721年以降)。

 オーストリアでは騎士団は51人以内に限定されただけではなく、授与されるのは男性でしかもカトリック教徒のみとされた。このため、19世紀から20世紀初頭にかけてオーストリアをはるかに凌駕(りょうが)した大英帝国の当主ビクトリア女王はもとより、その息子エドワード7世にも「イングランド国教徒」ということで授与されることはなかった。これに対してスペインではプロテスタントや異教徒、さらに女性にも与えられている。明治・大正・昭和の3天皇と天皇陛下、イギリスのエリザベス2世女王も騎士団の一員である。

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