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【解答乱麻】胸に迫る「大人の言葉」贈りたい バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
胸に迫る「大人の言葉」贈りたい バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 河井酔茗(すいめい)の「ゆずり葉」という詩がある。以前は小学6年の教科書に掲載されていた。新しい葉ができると入れ替わりに古い葉が落ちる「ゆずり葉」と、世代をつなぐ私たちの人生とを重ね合わせて書かれた美しい作品だ。「…幸福なるこどもたちよ、おまえたちの手はまだ小さいけれど-。世のおとうさんおかあさんたちは、何一つ持っていかない。みんなおまえたちに譲っていくために、いのちあるものよいもの美しいものを、一生懸命に造っています…」。胸に迫る思い溢(あふ)れる言葉だ。

 また司馬遼太郎は、生涯を通じて一編、子供たちのために『二十一世紀に生きる君たちへ』という作品を書き遺した。「いたわり・他人の痛みを感じること・やさしさ」などの大切さにふれ、「私は、君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら、以上のことを書いた」と心からの言葉で結んでいる。次代を担う子供たちへの温かいまなざしに充ち満ちている。こちらも小学校の教科書に掲載された。

 この2つの作品は、確かにわかりやすい言葉で書かれているから小学校の教科書に収録された。しかし、そこに込められた思いや哲学は、実に奥深く、重々しく、真っすぐで強いものであり、小学生が簡単に解(わか)るようなものではない。作品の意味を本当に心から理解できるのは、おそらく人生も後半にさしかかった頃であろう。

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