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【アート 美】ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち 奇跡の瞬間、躍動する筆致

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【アート 美】
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち 奇跡の瞬間、躍動する筆致

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「受胎告知」油彩・カンヴァス サン・サルヴァドール聖堂 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「受胎告知」油彩・カンヴァス サン・サルヴァドール聖堂

 天が開き、まばゆい光とともに、精霊を表す鳩が勢いよく降臨する。大天使ガブリエルの出現に驚くマリア。のけぞりながらも耳元のベールを上げて、お告げに耳を傾けている。

 16世紀のヴェネツィア・ルネサンス黄金期に君臨した、ティツィアーノ・ヴェチェッリオの「受胎告知」。70代前半に描いた傑作だ。普段はヴェネツィア中心部、リアルト橋に近いサン・サルヴァドール聖堂の側廊の祭壇に飾られているが、国立新美術館(東京都港区)で開催中の「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展でいま、見ることができる。

 縦4・1メートル、横2・4メートルの大画面にドラマチックに表現されているのは、神の子キリストが肉体をまとい、人間イエスとしてマリアに宿る奇跡の瞬間。421年、受胎告知の祭日(3月25日)に建国された伝説を持つヴェネツィアではおなじみの画題だが、金褐色を基調とした幻惑的な色彩、そして晩年特有の大胆で力強い筆さばきに、しばし陶然とさせられる。

 8年前に来日した「ウルビーノのヴィーナス」の滑らかな絵肌と比べると、違いは一目瞭然。半世紀を超える画業の中で、ティツィアーノの画風は変化していった。兄弟子ジョルジョーネの詩的な叙情性や色彩美を継承しつつ、ミケランジェロらの古典的様式を吸収。晩年に向かうにつれ筆触は一層粗く、表現主義的になってゆく。

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