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【生前退位 私はこう思う(2)】東大名誉教授(日本思想史)・小堀桂一郎氏 「摂政の冊立が最善」

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【生前退位 私はこう思う(2)】
東大名誉教授(日本思想史)・小堀桂一郎氏 「摂政の冊立が最善」

小堀桂一郎・東大名誉教授 小堀桂一郎・東大名誉教授

 然しここで、大正の御代の末、諸般の国事遂行の不如意を来された父帝に代わって摂政に立たれた先帝陛下とその先代の御事蹟を想い起こして頂きたい。日本の天皇はその為す所によってのみならず、唯国家元首として在位して居て頂くだけで、国家にとって十分の意味を有する存在なのである。天皇御自身は無為であっても、必要な皇室祭祀と国事行為とは、摂政宮殿下に代行をお任せ遊ばされればそれでよい。その代行は次代の天皇にとってのよき御修練の場ともなるであろう。

 もし実際に退位の御希望に添わんとならば、現行皇室典範の増補改訂は必須の前提となる。皇族を構成する宮家の数を増やす方向への改訂ならば、民間有志の皇室法研究団体の幾つかが既にかなりの検討の成果を蓄積しているが、生前御退位という思いがけぬ事態に備えての研究は全く白紙状態である。皇室伝統の人為的変更という非常事態への対応に、拙速は厳に慎むべく、いったいどれほどの歳月を要するか、いや果たしてその変更が法的に公論として可能かどうかすら覚束(おぼつか)ない。

 範例となりそうな前例を求めて、遡って国史を繙(ひもと)いてみても出てくるのは否定的材料の方が遙かに多い。退位された前天皇の国法上の地位、処遇、称号の問題。明治天皇の御治定にかかる一世一元の元号の問題。何よりも、天皇の生前御退位を可とする如き前例を今敢えて作る事は、事実上の国体の破壊に繋がるのではないかとの危惧は深刻である。全てを考慮した結果、この事態は摂政の冊立(さくりつ)を以て切り抜けるのが最善だ、との結論になる。(談)

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