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【生前退位 私はこう思う(2)】東大名誉教授(日本思想史)・小堀桂一郎氏 「摂政の冊立が最善」

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【生前退位 私はこう思う(2)】
東大名誉教授(日本思想史)・小堀桂一郎氏 「摂政の冊立が最善」

小堀桂一郎・東大名誉教授 小堀桂一郎・東大名誉教授

 今上陛下の践祚(せんそ)は昭和64年1月の事だったから、昭和8年生まれの陛下はその時宝算(ほうさん)56であられた。これは先帝陛下が大正10年宝算20(満年齢では19年7箇月)で摂政の位に就かれ、事実上国家元首としての重任を果たされることになったのと比べると甚だ遅い登極(とうきょく)である。いわゆる還暦の年を以て老人の仲間に入ったと見る習俗に倣えば、陛下は御即位の年に既に老齢に近づいておられた。

 爾来(じらい)28年に亘り、国民統合の象徴として民生の安寧への最高の配慮者として、皇室外交の少し域外にまではみ出した責務の担い手として、陛下は実に精励に君主としての重責を果たして来られた。殊に近年、硫黄島、サイパン、パラオ、フィリピンなどの戦蹟地への慰霊鎮魂の御旅行は、既に御高齢と病気による御体調の不良を押しての強行軍であっただけに、そのお疲れもさぞかしと拝察申し上げ、国民の一人として感謝と恐懼(きょうく)の思いに堪えない。

 それだけに、陛下には、平成の名を負う御代の御治世の御事蹟として、既に為すべきことの殆ど全てを為し果(おお)せた、これ以上為すべき責務は何程も残っていない、我が事おわれり、といった自足の感をお持ちなのではないかとの忖度(そんたく)が働く。それが同時に此以降の国事への御尽瘁(じんすい)は従来に比べるととかく欠ける所が目立つ事になろうとの御不安の感を呼ぶのかもしれない。いわゆる完璧主義の感覚を陛下がお持ちであるとすれば、生前退位のご希望が萌(きざ)すのも尤(もっと)もであると肯定的に考える向もあろう。

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