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【生前退位 私はこう思う】東大名誉教授(歴史学)・山内昌之氏 使命感へのこだわり

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【生前退位 私はこう思う】
東大名誉教授(歴史学)・山内昌之氏 使命感へのこだわり

山内昌之氏 山内昌之氏

 このニュースを聞いた瞬間、天皇陛下のお体のことを考え、ようやく激務からひとまず退かれることができるのではないかと、ほっとした。同時に残念でもある。戦後に誕生した新憲法での象徴天皇の試みに対し、ご自身の体験と思索をふまえて真摯(しんし)に考えてこられた。また、震災など自然災害の被災者への励ましやお見舞い、ハンディキャップのある人々へ向けられた温かいまなざしなど、天皇陛下でなければできない使命やお仕事が数々あるからだ。

 今回のご意向のポイントは3つある。第1は天皇の職務についてだ。大変責任感と義務感の強い方であり、老いにより課せられた職務を全うできず、不十分な結果になることを何よりも恐れられたのだろう。

 陛下は神話の時代から2千年以上続く、日本最古の家系に生まれた方であり、その威厳や伝統に障りがあってはならないというお考えもあったのではないかと思う。ご高齢のため、思うような行動や言語表現がなされないまま、天皇でいることがいいのかという問いなのだ。私自身は、陛下ご自身で責任を全うできないと判断された使命感へのこだわりを尊重したい。

 第2のポイントは、ご自分の課題への達成感や満足感による生前退位のご意向ではないかという点だ。陛下は、わが国にとって大事な日を4つあげておられた。広島、長崎への原爆投下、沖縄戦終結、そして終戦の日だ。陛下は長年、先の大戦で犠牲になった人々を悼む慰霊の旅を続け、昨年はパラオ、今年はフィリピンを訪問された。戦後の歩みのなかで、海外で慰霊の旅を実現された達成感による退位のご意向であり、むしろ前向きにとらえるべきだ。

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