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【書評倶楽部】興福寺貫首・多川俊映 『浅草寺diary』 日常に向ける慈しみの目

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興福寺貫首・多川俊映 『浅草寺diary』 日常に向ける慈しみの目

多川俊映さん 多川俊映さん

 □『浅草寺diary 名作散歩で親しむ仏教』壬生真康著

 著者は現在、浅草寺の教化部執事や勧学所長の席にある学僧だ。月刊誌「浅草寺」の編集人で、毎号自らも巻頭エッセーを執筆している。今回、それらのうち24編に補筆した上、《春から夏へ》《夏から秋へ》など4章構成にしたのが、本書だ。

 「さまざまな経典に触れるばかりでなく、古今東西の名作を読者に紹介する形式を採っております。仏典の解釈をストレートに掲げるよりは読者の皆さんに分かりやすい例えがないだろうかと考え、そうした諸作品を思い出して引用しました」(刊行にあたって)とあるように、まさに「名作散歩で親しむ仏教」という副題通りの好著となっている。

 それにしても、万葉集に能狂言、『枕草子』や『伊勢物語』など著名な日本文学をはじめ、論語に唐詩選、あるいはリルケ、ワーズワース、シェークスピア…という豪華な引用ぶりだ。

 陶淵明が引かれるかと思えば、一般にはほとんど知られていない江戸時代後期の武蔵国生まれの漢詩人・宮沢雲山(うんざん)の七言絶句が紹介されたりする。その博覧強記に導かれるうちに、気がつけば、いつしか仏教の世界に誘われているのだ。

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