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【書評】作曲家、ピアニスト・谷川賢作が読む『アフリカ音楽の正体』(塚田健一著)

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【書評】
作曲家、ピアニスト・谷川賢作が読む『アフリカ音楽の正体』(塚田健一著)

「アフリカ音楽の正体」 「アフリカ音楽の正体」

リズムの奥義を体感する

 音楽の3要素のうちで「リズム」に最も人間の成せる業(わざ)の神秘を感じてしまうのは、おそらく私だけではないと思う。決してたかをくくるわけではないのだが、どんなに複雑な「ハーモニー」も、作曲家が頭の中で考えひねり出した産物に思えるし、逆に「メロディー」は老若男女が自然に持つ「歌心」、誰でもが楽しめる音楽のエッセンスと言えよう。「リズム」だけは時に「ここで今起こっていることは、一体なんなんだ!? とても気持ちよく感ずるが、頭でもその構造を理解してみたい」という欲求にかられてしまう。ラテン、フラメンコ、インド音楽、ガムラン…。世界にはそんな魅力的なリズムがあふれている。

 そしてもちろんアフリカ音楽。本書は「リズム」のみについて書かれた本ではないが、圧巻の「実践編」をふくめ多くをアフリカ音楽のリズムの奥深さについて割いている。

 それにしても20世紀初頭から、いかに多くの西洋人研究家が、なんとかしてアフリカンリズムの謎を解き明かそうとしてきたことか。彼らとて、理解=西洋音楽の産物であるところの、五線譜への記譜、とは短絡的には考えていなかったとはおもうのだが、なんとかして五線にリズムを定着させようとする不断の努力に対しては頭が下がる。

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