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【健康カフェ(40)】肥満症 欧米では減量手術も

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【健康カフェ(40)】
肥満症 欧米では減量手術も

 スウェーデンで今月、開催された「欧州肥満学会」に参加してきました。

 欧米では肥満とそれに伴う病気や死亡の増加が問題になって久しいですが、いまだに解決の方向に向かっていません。日本を含むアジアでも肥満は増加傾向にあります。アジア人は肥満の程度が低くても、糖尿病など肥満に関連する病気になりやすいことが分かっており、油断は禁物です。

 日本肥満学会は、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出する体格指数(BMI)が25以上で、高血圧や糖尿病など健康障害がある場合を「肥満症」と定義しています。一方、欧米ではBMIが30以上を肥満症としています。

 欧米では過去にさまざまな肥満症の治療薬が登場しましたが、その多くが副作用の問題で姿を消してきました。今回の学会では、現在使用されているいくつかの肥満症の治療薬が、長期間にわたり減量の維持に効果的で、今のところ安全性も問題ないことが報告されていました。例えば、日本で糖尿病治療に使用されている注射薬の量を多くしたものが、欧米では肥満症の治療薬として使用されています。

 また、欧米では胃を小さくする減量手術が盛んに行われています。手術によって、食事や運動だけでは到底達成できないほどの減量が可能で、減った体重を長期間維持できることが報告されていました。日本でも平成26年4月、BMI35以上で、食事や運動では減量が難しい肥満症患者に対して、手術で胃を小さくする「腹腔(ふくくう)鏡下スリーブ状胃切除術」が保険適用となっています。

 減量手術には、糖尿病の改善効果があることも分かっています。減量手術によって大幅に治療薬を減らすことができる人が多く、中には糖尿病が完全に良くなり薬がいらなくなる人もいるそうです。肥満のある糖尿病の患者さんでは、長い間、薬で治療しているのになかなか良くならない人も少なくありません。日本では減量手術に抵抗がある医師や患者さんが多いのですが、今後は選択肢の一つとして日本でも注目されるかもしれません。

 われわれ医師は新しい治療法に目が行きがちですが、糖尿病の治療で大事なことは、やはり食事と運動の生活習慣を正すことです。特に1週間に4~5時間の運動は、減量後の体重維持に効果ありというデータが示されています。ぜひ実行してもらえればと思います。(北原ライフサポートクリニック内科医 下島和弥)

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