産経ニュース

三島由紀夫賞贈呈式で蓮實重彦さんがスピーチ「マイクを握ると何を口走るか分かりません…」

ライフ ライフ

記事詳細

更新


三島由紀夫賞贈呈式で蓮實重彦さんがスピーチ「マイクを握ると何を口走るか分かりません…」

三島由紀夫賞の贈呈式で、受賞スピーチをする仏文学者の蓮實重彦さん=24日、東京都内¥ 三島由紀夫賞の贈呈式で、受賞スピーチをする仏文学者の蓮實重彦さん=24日、東京都内¥

 第29回三島由紀夫賞、山本周五郎賞(新潮文芸振興会主催)の贈呈式が24日、東京都内で行われた。22年ぶりに書いた小説「伯爵夫人」(新潮4月号)で、三島賞を最年長受賞した元東大学長で仏文学者・映画評論家の蓮實重彦さん(80)は「この授賞式が、気に入ったことでないのはいうまでもありません」などと持ち前の“蓮實節”を披露し、会場を沸かせた。

 三島賞の対象は新鋭の純文学作品。フランス文学と評論の泰斗が「新鋭」にあたるのかも論議となった。このため蓮實さんは5月の受賞決定直後の記者会見で「(受賞を)全く喜んでおりません」「80歳の人間にこのような賞を与えることが起こってしまったのは日本の文化にとって嘆かわしい。選考委員が暴挙に出られたわけで迷惑」など発言。そんな“不機嫌会見”の様子がネット上などで話題を呼び、この日のスピーチも注目されていた。

 この日の贈呈式で、スピーチのために壇上に上がった蓮實さんは「聴衆を前にしてマイクを握ると何を口走るか分かりませんので…」と用意した紙を取り出し、淡々と文章を読み上げた。

 「この授賞式が気に入ったことでないのはいうまでもありません。それはどこかしら他人事めいており、どこでもない場所を思わせもします。しかし、あたかもそれが自分の気に入ったことであるかのように振る舞う才覚は、わたくしにも多少はそなわっております」。そんな機知とアイロニーにみちた言葉で聴衆を魅了しながら、受賞作を発表するに至る経緯を振り返った蓮實さん。「このテクスト(受賞作)をわざわざお読み下さったすべての方々に、複雑な思いのこもった感謝の言葉をさしむけさせていただきます」と、独特の表現で感謝の気持ちを述べた。

 受賞作「伯爵夫人」は、日米開戦前夜の東京を舞台に、帝大受験を控えた青年と謎めいた年上の女性「伯爵夫人」とのエロティックな交流を描く。

「ライフ」のランキング