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【巨編に挑む】『新ヨーロッパ大全』 4つの家族型が生み出した近代

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【巨編に挑む】
『新ヨーロッパ大全』 4つの家族型が生み出した近代

『新ヨーロッパ大全』(藤原書店・I=3800円+税、II=4700円+税) 『新ヨーロッパ大全』(藤原書店・I=3800円+税、II=4700円+税)

 世界が抱える問題にもっとも果敢に取り組んでいる知性といえば、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドだろう。彼は入手可能なさまざまなデータを駆使しながら、世界を人類学的基底から読み解き、そのゆくえを予測する。そんな彼の原点が1990年に刊行された『新ヨーロッパ大全』だ(邦訳は92年)。遅きに失した感はあるが、刊行から四半世紀もたたぬうちに古典の地位を確立したこの大著に挑んでみた。(桑原聡)

                   

 下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てたトッドは、7年もの時間をかけて、西ヨーロッパを483の地域に分け、それぞれについて家族型を特定した。

 トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か(結婚した子が家にとどまる場合は権威主義的、自由に家を出て独立するなら自由主義的)、さらに兄弟(姉妹)の関係が平等か否か(長子相続であれば不平等、均等相続なら平等)によって分類する。

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