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【編集者のおすすめ】『パナマ文書公開とタックス・ヘイブンの陰謀!』 最大の問題は「資金洗浄」

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【編集者のおすすめ】
『パナマ文書公開とタックス・ヘイブンの陰謀!』 最大の問題は「資金洗浄」

 前代未聞の巨大データ流出で世界中が大騒ぎになった。

 例えば中国の習近平国家主席とその親族の莫大な資産隠しが暴露され、中国当局はその隠蔽(いんぺい)に躍起となっている。アイスランドではグンロイグソン首相が辞任し、イギリスのキャメロン首相も窮地に立たされた。

 その影響はとどまるところを知らず、ロシアのプーチン大統領にも資産隠しの疑惑が生まれ、アメリカ大統領選挙にまで影を落としている。

 日本に関しても有名企業や団体、その関係者と思われる個人名が公開され、釈明に追われている人もいる。パナマ文書公開はまさに一大スキャンダルという感じだが、著者の宇田川敬介氏は、問題の核心はそこではないと言う。

 宇田川氏は、実際に業務としてタックス・ヘイブンを活用した経験がある。本書がタックス・ヘイブンとその問題についてより深くかつわかりやすく解説できているのもそれゆえである。

 宇田川氏によるとタックス・ヘイブンの利用目的の中で最も問題なのは「マネー・ロンダリング」である。つまりリストを公開することで、資金の流れが一目瞭然になり、テロや反社会集団の資金を断つことにつながるということだ。例えば北朝鮮やISISに誰がどこから資金を流しているかが解明されれば、彼らの暴走を阻止することも可能になる。

 公開が、単なるスキャンダル暴露ではなく、その先にあるものを考える機会となることを本書より読み取っていただければ幸いである。(宇田川敬介著/青林堂・1500円+税)

 青林堂編集部 上原隆男

 

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