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負担は1人数万円超…デジタル教科書普及、自治体間で差

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負担は1人数万円超…デジタル教科書普及、自治体間で差

 教室に見立てた会場で、生徒役の参加者が手元のタブレット端末で書き込んだ文字を、教師役が大型のスクリーンに映し出す-。東京都内で5月に開かれた学校向けIT見本市で紹介されたデジタル教科書を使った模擬授業の様子だ。

 教科書会社が制作する現行の“デジタル教科書”は紙の内容のほか理科実験や図形展開の動画、英文の音声なども活用できる。生徒が書き込んだ意見を端末と情報通信ネットワークを通じて共有することで、教員や生徒間のやりとりが活発化すると期待されている。

 その一方、与えられる情報が増え、書いたり考えたりする時間が減るのではないかなどの不安もあり、導入には賛否がある。一部の自治体が教材として先行導入しているが、端末なども含め生徒1人数万円超とされる費用が壁となり生徒用の普及は進んでいない。

 端末の整備に積極的な自治体もある。茨城県古河市の平井聡一郎・教育部参事は「端末が生徒1人に1台あれば、全員が自分の考えを先生に伝えることができる。授業への参加意識を持ち、学習意欲が高まる効果があり、自治体でも整備モデルを作るべきだ」と意欲を示す。同市では、小中学生への端末の一斉配布が難しく、規模の小さい小学校3校を「1人1台」のモデル校として重点整備。実績を積むことで、全校整備へ道筋をつけたい考えだ。

 だが、文科省が公立小中高校に昨年実施した調査によると、タブレットも含めた教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は6・4人。都道府県別では2・6人(佐賀)から8・4人(愛知)と、端末の普及率には自治体間で差がある。デジタル教科書が無償配布されると、端末やネットワークの整備が進むとの見方もあった。

 デジタル教科書に詳しいNPO法人キャンバスの石戸奈々子理事長は「環境整備が遅れている自治体もあり、格差の解消が課題だ。今の授業は発言する人数が限られるが、先生と生徒がつながることで議論や提案が活発になる。デジタル教科書の利点は、端末とネットワークも使う前提で検討すべきだ」と話している。

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