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【書評】ジャーナリスト・山田順が読む『「週刊コウロン」波乱・短命顛末記』(水口義朗著) スキャンダルに背を向けて

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ジャーナリスト・山田順が読む『「週刊コウロン」波乱・短命顛末記』(水口義朗著) スキャンダルに背を向けて

(中央公論新社・1500円+税) (中央公論新社・1500円+税)

 本書には、当時活躍していた作家、文化人、俳優、有名人などが次々に登場し、多くのエピソードが紹介されている。作家だけでも、石原慎太郎、小田実、野坂昭如、城山三郎など挙げていけばきりがない。水口氏は当時のことを書きながら、その後についても触れ、現代からの視点も加えているので、読んでいて「ああ、そうだったのか」と頷(うなず)いたことが何回もあった。だから、私のような出版界にいた人間はもとより、一般の方にも、読めば思うことが限りなくあるはずだ。その終刊には週刊誌としては高級すぎたこともあるが、「嶋中事件」も大きく影響している。この事件は、いまも日本のジャーナリズムを考えるとき、避けては通れない問題だ。

 私は「人間は人間にいちばん興味がある。話題や事件を描くのではなく人間を描け」と教えられた。これが、週刊誌ジャーナリズムの原点である。水口氏は、本書のなかで確実に人間を描いている。(中央公論新社・1500円+税)

 評・山田順(ジャーナリスト)

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