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【書評】ジャーナリスト・山田順が読む『「週刊コウロン」波乱・短命顛末記』(水口義朗著) スキャンダルに背を向けて

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【書評】
ジャーナリスト・山田順が読む『「週刊コウロン」波乱・短命顛末記』(水口義朗著) スキャンダルに背を向けて

(中央公論新社・1500円+税) (中央公論新社・1500円+税)

 今年は「週刊文春」のスクープ連発もあり、珍しく週刊誌が注目されている。そんななか、「スキャンダルは扱わない」「人を傷つけない」という方針を貫き創刊わずか2年で姿を消した「週刊コウロン」の歴史が、本書によって蘇(よみがえ)った。創刊は昭和34年10月、終刊は36年8月。この間、著者の水口氏は20代前半で、青春のすべてをささげて記事づくりに携わったことが行間から滲(にじ)み出てくる。

 じつは私も週刊誌経験者で、水口氏に遅れること15年、51年から約20年間、週刊誌(といっても女性週刊誌『女性自身』)の編集部にいた。そのことを思い返しながら本書を手に取ったが、あまりの中身の濃さ、そして、歯切れのいい文章に、あっという間に読み終えてしまった。

 「週刊コウロン」の時代は日本の出版社系週刊誌の草創期で、「週刊新潮」「週刊文春」などが次々創刊された。この時代のことを、私は先輩たちからよく聞かされたが、本書を読んで初めてその時代がいかに濃厚な時代だったかがわかった。映画『三丁目の夕日』が描くノスタルジーだけでは捉えきれない時代だ。

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