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【ビジネスパーソンの必読書】『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一著 ほか

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【ビジネスパーソンの必読書】
『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一著 ほか

『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一著(小学館・1300円+税) 『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一著(小学館・1300円+税)

 本、とくにビジネス書に何を求めるだろうか? 検索エンジンを使うように「答え」を求めてはいないだろうか? それはあまりお勧めできない。本はあくまで「材料」や「ヒント」を得るもの。読書をきっかけに、主体的に考える姿勢をもつことが大切だ。(情報工場「SERENDIP」編集部

                   

職を奪われる?

 □『これからの世界をつくる仲間たちへ』落合陽一著(小学館・1300円+税)

 メディアへの露出も多い筑波大助教のメディアアーティストによる本書は、未来のコンピューターと人間の「つきあい方」について新しい視点を提供している。

 たとえば「コンピューターが人間の職を奪う」リスクについてはあちこちで議論されている。その多くは「単純労働が人工知能に取って代わられる」といったものだろう。しかし本書で著者は、職を奪われる筆頭はホワイトカラーの中間労働層だと指摘する。

 単純労働は「コンピューターに使われる」ことになるかもしれないが、すぐに職がなくなるとはかぎらない。置き換えるのに手間とコストがかかるからだ。一方、データに基づいて人を管理するのはコンピューターのソフトウエアの書き換えで簡単にできる。

 コンピューターに置き換えられる、あるいは「使われる側」にならないためには「専門的な暗黙知」をもつことが重要と著者。コンピューターにリスペクトされるくらいのクリエーティブスキルの獲得をめざすべきなのだ。

                   

近代的な個を形成

 □『通勤の社会史 毎日5億人が通勤する理由』イアン・ゲートリー著、黒川由美訳(太田出版・2600円+税)

 毎日の通勤を「楽しい」と感じる人は少数派だろう。時間をとられるし、体力も消耗する。犯罪に遭うリスクもある。そんな「必要悪」ともいえる「通勤」について、歴史や人々の心理、未来予測など、さまざまな角度から考察したのが本書だ。

 著者によれば、19世紀の英国で始まった「通勤」の習慣は、都市化や郊外の発展を助けるとともに、人々の時間の感覚を変え、核家族化を促進した。新鮮なのは、著者が、通勤を「他者と顔を合わせるための準備の時間」と捉えていることだ。

 オンとオフの間に緩衝地帯を設けることで、人は無理なく「二重生活」を送ることができる。そのことが複数のアイデンティティーを使い分ける近代的な「個」をつくり上げたのだろう。

 ITの進歩で在宅勤務も容易になった。通勤不要というような「新しい働き方」が普及したとき、「個」はどのように変化していくのか。

                   

共感のポイントは

 □『「つくす」若者が「つくる」新しい社会 新しい若者の「希望と行動」を読む』藤本耕平著(ベスト新書・815円+税)

 「若者論」はいつの時代にもあり、「〇〇世代」という呼称が流行語になる。最近のネーミングでもっともポピュラーなのは「ゆとり世代」だろうか。大手広告会社のマーケッターである著者が、本書の前作で提示したのが「つくし世代」。気の合う仲間に「つくす」ことに喜びを感じるという今の若者たちの行動傾向を強調したものだ。

 つくし世代がもっとも重視するのが「共感」。互いに価値観が似通った同士が共感で結びつきつつ、それぞれの個を尊重しあうコミュニティーこそが彼らの理想とする社会だ。つくし世代とうまくやっていくには、まず自分をオープンにすることだと著者。それによって共感のポイントを見つけさせることができる。

 世代差によって生じる言動の違いを批判するのはよい。それは自分の考えをオープンにすることでもあるからだ。だが、端から否定することは、当然ながら何のプラスにもならない。

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