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【第63回産経児童出版文化賞】フジテレビ賞『あの花火は消えない』

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【第63回産経児童出版文化賞】
フジテレビ賞『あの花火は消えない』

『あの花火は消えない』 『あの花火は消えない』

 □森島いずみ著(偕成社・1200円+税)

 かあさんが入院して、「あたし」は、5年生の新学期から、かあさんの実家ですごす。そこは、日本海の若狭湾に面した小さな町だ。

 しばらくして、町はずれの施設から、家のはなれに、ぱんちゃんが引っ越してくる。ぱんちゃんは、もう25歳だが、空中にビー玉を高くほうりあげ、ビー玉がてのひらに戻ってくるまでのわずかな時間に、ぱんぱんぱん…、何回手をたたけるか、それに熱中している。

 ぱんちゃんは、絵を描くのがうまい。転校した学校になじめない「あたし」も、絵に心のよりどころを見いだすようになる。

 作品のおしまいでは、間もなく大学に進学する「あたし」の現在が語られ、5年生の若狭での夏が、急に額縁におさめられた絵のようになる。この遠近感があざやかで、あの夏の記憶がかけがえのないものとして心に残るのだ。(武蔵野大学教授・宮川健郎)

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