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【アート 美】「伴大納言絵巻」の謎と醍醐味 美の祝典、出光美術館

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【アート 美】
「伴大納言絵巻」の謎と醍醐味 美の祝典、出光美術館

国宝「伴大納言絵巻」(上巻、部分)平安時代、出光美術館蔵。迫ってくる黒煙に、逃げ惑う群衆 国宝「伴大納言絵巻」(上巻、部分)平安時代、出光美術館蔵。迫ってくる黒煙に、逃げ惑う群衆

 日本四大絵巻のひとつ、国宝「伴大納言(ばんだいなごん)絵巻」が、所蔵する出光美術館(東京・丸の内)の開館50周年記念展「美の祝典」で、10年ぶりに公開されている。

 866年、平安京内裏(だいり)の応天門に大納言伴善男(とものよしお)(伴大納言)が放火したとされる「応天門の変」を題材に、平安末期に描かれた絵巻だ。絵の作者は12世紀の宮廷絵師の常盤光長、詞書は能書家の藤原教長とする説が有名だが、定かではないという。

 ただ、実在した政治家を主人公に野心や謀略、失脚を描いたストーリーは単純に面白い。実は伴大納言絵巻は上巻だけ詞書が現存しないが、説話集『宇治拾遺物語』に収録のエピソードで内容はたどれる。

 幕開けは応天門炎上。逃げ惑う群衆に、高みの見物をする官人ら。野心家の伴大納言は、放火は左大臣源信の仕業だと朝廷に告発する。若き天皇は直ちに左大臣を処罰しようとするが、太政大臣藤原良房が十分調査するよう進言する…。

 史実では伴大納言の犯行動機は謎であり、事件の真相も藪(やぶ)の中といっていい。一方、絵巻では巷(ちまた)で語り継がれてきた説話をもとに脚色が加えられ、緩急をきかせた物語展開がたくみだ。伴大納言の動機は自らの出世のため。事件解明のきっかけは、子供のけんかに親が出てくるドタバタ劇。人間の営みや欲望なんてずっと変わらないんだと感慨深い。ちなみに同展は3期に分かれており、1期の現在は上巻のみ展示。続く2期で中巻、3期で下巻を見ると、全3巻の全場面を鑑賞したことになる。中・下巻は、源信邸と伴大納言邸の女性たちの明暗さまざまの情景も、見どころのひとつだ。

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