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【書評】文化部編集委員、桑原聡が読む『孤高のリアリズム-戸嶋靖昌の芸術-』執行草舟著

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【書評】
文化部編集委員、桑原聡が読む『孤高のリアリズム-戸嶋靖昌の芸術-』執行草舟著

『孤高のリアリズム-戸嶋靖昌の芸術-』執行草舟著(講談社エディトリアル・5000円+税) 『孤高のリアリズム-戸嶋靖昌の芸術-』執行草舟著(講談社エディトリアル・5000円+税)

 「供物」としての芸術

 昨年11月、スペイン大使館のホールである画家の個展が開催され、反時代的とも言うべき暗く重い作品の数々は、足を運んだ美術関係者に強い衝撃を与えた。「こんなすごい画家がいたのか!」と。

 画家の名は戸嶋靖昌(1934~2006年)。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)で絵画と彫刻を学び、67年に麻生三郎の推薦で銀座のサヱグサ画廊で個展を開き将来を大いに嘱望された。しかし、70年の三島由紀夫自決事件に魂を揺さぶられるような衝撃を受けた戸嶋は74年、商業的成功の可能性を捨ててスペインに渡る。以後何度かの一時帰国をはさみながら98年までグラナダを拠点に周辺の人物や風景を描き続けた。

 本書は、これまでほとんど顧みられることのなかった戸嶋芸術に捧(ささ)げられたオマージュであり、同時に戸嶋研究の土台を提供する試みである。著者の執行草舟(しぎょう・そうしゅう)氏は、妻の死をきっかけに帰国した戸嶋にアトリエを提供して創作活動を支援、友として肖像画のモデルにもなり、没後はすべての作品を譲り受けて戸嶋靖昌記念館を創設した人物だ。

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