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【書評】ライター・編集者の南陀楼綾繁が読む『日活不良監督伝 だんびら一代 藤浦敦』(藤浦敦著・藤木TDC構成)

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【書評】
ライター・編集者の南陀楼綾繁が読む『日活不良監督伝 だんびら一代 藤浦敦』(藤浦敦著・藤木TDC構成)

 ロマンポルノ路線の失敗後、日活が生き残るための模索が続く。映画以外にゴルフ場やホテル経営に手を出して、負債を増やす。藤浦は父から受け継いだ日活の株を持っており、経営陣にあれこれ知恵をつける。策謀と人間模様が繰り広げられる。本当かなと眉に唾つけたくなるほど、興味深いエピソードばかり。これ自体、一本の映画になりそうだ。

 藤浦は90年、中国ロケの大作『落陽』のプロデュース(資金も自分で出した)を最後に、映画の世界から離れる。口が悪く強圧的な「不良監督」だったが、映画を愛する気持ちは持ち続けた。いまはフィルムが失われた山中貞雄の作品を少年時代に観た記憶のままに語る口調の、なんと生き生きとしていることか。「人間の良いところも悪いところも描いてる、それが映画」は、この人が言うから説得力がある。(洋泉社・3200円+税)

 評・南陀楼綾繁(ライター・編集者)

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