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【ゆうゆうLife】辞めない介護現場はこんな職場 秘訣は小型マイクとヘッドフォン、夜勤の軽減にあった

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辞めない介護現場はこんな職場 秘訣は小型マイクとヘッドフォン、夜勤の軽減にあった

携帯無線機で同僚と連絡を取る介護スタッフ。「不安感が解消された」という=東京都町田市の社会福祉法人「合掌苑」 携帯無線機で同僚と連絡を取る介護スタッフ。「不安感が解消された」という=東京都町田市の社会福祉法人「合掌苑」

 高齢化が進展する中、介護職がますます不足することが懸念される。採用の難しさに加えて、離職率の高さも指摘されるが、「辞めない職場」を目指して採用を行い、環境を整える法人もある。新たな試みをリポートする。

    (佐藤好美)

 利用者の家族がやってきたのを見て、介護スタッフが口元のマイクにささやく。

 「○○さんのご家族が、いらっしゃいました」

 「了解。エレベーター前で迎えます」

 「あ、私、お話ししたいことがあるんだ」

 スタッフ同士が離れた場所にいても、こんな会話ができるようになった。社会福祉法人「合掌苑」は5年前、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、通所介護事業所などに、小型マイクとヘッドホンのセット「インカム」を導入した。規模の大きな飲食店などで接客をする店員らが利用する携帯無線機だ。

 それまでは、利用者の頭越しに同僚を呼んだり、指示を出したり、高齢者が大声に驚くこともしばしば。求めたのは「静かな環境」だった。

 だが、導入してみると、思いがけない効果があった。まずは、チームで仕事をしている実感が持てるようになったこと。合掌苑の地域福祉支援事務局の神尾昌志さんは「インカムに向かって話せば、誰かの声が返ってくるから、みんなで働いている感覚になる。新人もチームの一員という感覚が持てるようになった」と言う。

 それが、スタッフの不安や孤独感の解消にもなったようだ。介護職の保坂千尋さん(28)は合掌苑に就職して9年目。インカムがなかったころは、1人でフロアをカバーする泊まり勤務が不安だった。高齢者に気がかりなことがあっても、同僚に相談したり、来てもらったりするにはフロアを空けなければならず、緊張感があった。「今は気軽に相談できる。いつも誰かがそばにいるよ、という安心感がある」と言う。

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