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【私と震災】「頑張って新しいまちをつくるぞという意気込みしぼんできた」 建築家・伊東豊雄さん 均質化への懸念も現実に

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【私と震災】
「頑張って新しいまちをつくるぞという意気込みしぼんできた」 建築家・伊東豊雄さん 均質化への懸念も現実に

福島県相馬市に昨年完成した「相馬こどものみんなの家」。南相馬市でも親子が安心できる屋内の遊び場を建設中 (鳥村鋼一撮影) 福島県相馬市に昨年完成した「相馬こどものみんなの家」。南相馬市でも親子が安心できる屋内の遊び場を建設中 (鳥村鋼一撮影)

 大津波に襲われた東北の沿岸部ではいま、防潮堤の建設、かさ上げ、高台移転へ向けた土木工事が至る所で行われ、似たような復興公営住宅が続々建設されている。建築家の伊東豊雄さん(74)は、ため息混じりに言う。「その土地の特性を生かした復興があるはずなのに。均質化への懸念が、現実になりつつありますね…」

 被災した人々が集い、復興について考える拠点「みんなの家」を各地でつくり続けてきた。建築家有志ととともに、多くの支援や協力を得てこれまで完成させたのは14件。さらに岩手県釜石市の再生に復興ディレクターとして関わった。

 東日本大震災から5年。「頑張って新しいまちをつくるぞという被災地の人々の当初の意気込みが、ちょっとずつ、しぼんできた印象を受けます」

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 ちょうど3年前、伊東さんはこんな憂慮を口にしていた。〈このままでは典型的な郊外の風景-大型店舗があって均質な集合住宅や建売住宅が並ぶ、歴史や文化の継続性を感じさせない風景が、三陸の地に次々出現することになる〉。釜石市もその例外ではない。

 「僕は釜石市の中心部を庭園都市のようにしたかったんですよ」。桜並木を整備し、津波対策の一つとしてマウンド(人工的な丘)をつくり緑化してはどうか。平地の少ない地だけに、斜面を利用し美観にも優れた集合住宅をつくってはどうか-。「いろんな提案をしたが全部拒否された。正直なところショックでしたね。市のレベルでは前向きでも、国や県が予算として認めない。均質化の壁に阻まれた」。公平性を重んじるあまり、地域独自の開発を許さない。津波対策も「安心・安全を旗印に、画一的な管理に向かいつつある」と指摘する。

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