産経ニュース

鳥居さん歌集「キリンの子」 生きづらさ、三十一文字に託す思い 過酷体験、癒やしへ昇華

ライフ ライフ

記事詳細

更新


鳥居さん歌集「キリンの子」 生きづらさ、三十一文字に託す思い 過酷体験、癒やしへ昇華

「戦場カメラマンがシャッターを切るような感覚で短歌を詠みます」と語る鳥居さん 「戦場カメラマンがシャッターを切るような感覚で短歌を詠みます」と語る鳥居さん

 義務教育も満足に受けられず、施設で職員が読み終えた後の新聞を拾い、辞書を引きながら読んで字を覚えた。成人した今もセーラー服を着て活動するのは、義務教育もままならずに大人になった人がいることを表現するためであり、「今からでも勉強をやり直したいという思いからです」と明かす。

 《慰めに「勉強など」と人は言う その勉強がしたかったのです》

 あまりに過酷な人生。絶望のふちにあった鳥居さんに生きる希望を与えたのが、短歌との出会いだった。図書館で手にした穂村弘さんの歌集、ホームレス生活を経て移り住んだ大阪で見つけた吉川さんの歌集…。さまざまな情感や情景がうたわれた短歌に心奪われた。独学で習得した言葉を駆使し、孤独や生きづらさを五七五七七に昇華させた。

 「私は短歌に救われた」と鳥居さん。自分と同じような境遇に苦しむ人は少なくない。だからこそ、短歌を詠み続ける。(戸津井康之)

                   ◇

【プロフィル】鳥居

 とりい 歌人。三重県出身。平成25年、第3回路上文学賞大賞を受賞。26年、中城ふみ子賞候補作に選ばれる。鳥居さんの半生を描いたノンフィクション『セーラー服の歌人 鳥居』(岩岡千景著)も同時刊行。

「ライフ」のランキング