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【この本と出会った】美術家・ミヤケマイ「愛せるものを見つけよ」 『メルヒェン』ヘルマン・ヘッセ著、高橋健二訳

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【この本と出会った】
美術家・ミヤケマイ「愛せるものを見つけよ」 『メルヒェン』ヘルマン・ヘッセ著、高橋健二訳

『メルヒェン』ヘルマン・ヘッセ著、高橋健二訳(新潮文庫・400円+税) 『メルヒェン』ヘルマン・ヘッセ著、高橋健二訳(新潮文庫・400円+税)

 子供の頃どうして人を殺してはいけないのか、どうして人間は冬眠できないのか、などと何かと私は親や先生を窮地に追いつめるのを得意としていた。そして答えてもらえない不満を埋めるように多数の本を乱読した。しかし人生において無数の人とすれ違いながら、知り合える人は少なく、まして人生を変えるような出会いは、そうそうないのと同じで、自分の人生を変えた本は、数えるほどしかない。本書の中の「アウグスツス」は親や先生も答えてはくれない、人はどうしたら幸福になるのかという質問に明快な回答を出し、私の人生に影響を少なからず与えた。

 貧しくも清く美しい母親がいた。子供が生まれ、隣人の老人は母親に1つだけ願い事を叶(かな)えると約束する。母親はお金や美、能力や賢さなど考えたが、どれも気がかりなふしがあり、望める最良のものとして、誰からも愛される子にと願う。親の願いは大概子供の呪いになるというのは定説だ。案の定、人に愛される幸と不幸に疲れ絶望した彼の元に、彼の不幸に責任を感じた例の老人が再度現れ、1つだけ願いを叶えると言うと、彼は自ら人を愛せる能力を願う。

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