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原田直次郎、100年ぶり回顧展 西洋画普及に捧げた36年の生涯

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原田直次郎、100年ぶり回顧展 西洋画普及に捧げた36年の生涯

「靴屋の親爺」1886(明治19)年 重要文化財 東京芸術大学所蔵 「靴屋の親爺」1886(明治19)年 重要文化財 東京芸術大学所蔵

 幕末の江戸に生まれ、明治を駆け抜けた原田直次郎。最も有名な作品は、重要文化財となっている「靴屋の親爺」だろう。写実的に描写された厳しい表情の職人。明るい額に対して顔の右半分はやや暗めで明暗がくっきり。鋭く光る目は強い意志を感じさせ、モデルの心まで表現しているようだ。油彩画の本場で学んだ画家の姿とだぶる。

 原田は、岡山の鴨方藩士の次男として生まれた。滞欧経験のある父を持ち、幼少期からフランス語など外国語教育を受け、東京外国語学校を卒業。20歳で本格的に絵の道を志し、油彩画の草分けとして知られる高橋由一(ゆいち)(1828~94年)に師事した。明治17年、ドイツで地質学を学んでいた兄のアドバイスで同国に私費留学し、ミュンヘン美術アカデミーで学んだ。「靴屋の親爺」は留学時代の作品だ。

 原田の油彩画は重厚なだけではない。ミュンヘン近郊の村を題材にした「風景」は明るくさわやか。子供が庭の芝生で遊び、木立の濃い緑と芝生に差し込む日差しの黄色の光のコントラストが鮮やか。留学時代の現存する唯一の風景画だ。

 ドイツでは、同時期に留学していた文豪、森鴎外(1862~1922年)と知り合った。鴎外は『独逸日記』で「原田は素(も)と淡きこと水の如き人なり。余平生甚だこれを愛す」などと記し、生涯交友した。小説『うたかたの記』の主人公は原田がモデルとされる。

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