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【書評倶楽部】ハードだけでは成り立たない 『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著

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ハードだけでは成り立たない 『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇著

成毛眞氏(瀧誠四郎撮影) 成毛眞氏(瀧誠四郎撮影)

 □書評サイト「HONZ」代表・成毛眞

 資源の乏しい日本にとって、今も昔も石油がアキレス腱(けん)であることに変わりはない。中東は混乱の極みに達し、アメリカのシェールガス革命などによって原油価格の下落もとどまるところを知らない。その結果として株式市場も萎縮しつづけている。

 こうした世界的な危機ともいえる事態に直面する状況にあって、75年前の日本が、石油を断たれて開戦に踏み切った経緯を知っておくことは、けっして無駄ではないだろう。

 「何事によらず、失敗した事業の記録は少ない」と著者が指摘するとおり、開戦前の石油に関する事項は、軍の機密情報とされ、敗戦時には処分されて詳しいことはわからなかった。

 しかし、石油技術者たちは、「私家版」という形で記録を残していた。一般には目に触れる機会が少ない記録を掘り出して著者が掴(つか)んだ事実は、なんとも「情けない」もののオンパレードだった。

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