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【ご慰霊の旅 両陛下フィリピンへ】
(下)遺骨収集・日系人の苦難…

見過ごされてきた影に光
「わざわざ行って慰霊していただけることは、遺族というより、一人の日本人としてありがたいという思いでいっぱいです」
昭和19年10月にフィリピン沖で米軍に撃沈された軍艦「多摩」の山本岩多艦長の四男、博史さん(78)=仙台市青葉区=は、天皇、皇后両陛下のフィリピンご訪問を、感慨深く受け止めている。
先の大戦中、海外では最多となる51万8千人もの日本兵が犠牲になった同国。両陛下による「ご慰霊の旅」を待ちわびていた遺族も少なくない。
20年7月にレイテ島で陸軍第68旅団の中隊長だった父親を亡くした阿部孝雄さん(78)=さいたま市大宮区=は、数少ない生還者とともに現地に赴き、ルソン島中部のカリラヤに日本政府が建てた「比島戦没者の碑」に両陛下が拝礼されるのを見届ける。
両陛下は今回、ルソン島のみの訪問となり、この碑とフィリピン側の「無名戦士の墓」への供花で、全ての戦没者を追悼する思いを込められる。