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【新元素113番の輝き(上)】
ドンペリをたたき割り実験続行「魔の7年間」乗り越え、日本が露米に逆転勝利した真相とは
「予想外の決定」とロシア反発
数は少ないが物証をつかんだ日本と、多くの状況証拠を積み重ねた露米。審査委員会が重視したのは、信頼性の鍵を握る既知の原子核の確認だった。委員長を務めた米カーネギーメロン大のポール・カロル名誉教授は「どちらも敗者ではないが、露米は基準を満たさなかった」と明かす。
ドブナ研究所は今月6日、「露米は100個も作っており予想外の決定だ」と不満をあらわにする異例の声明を公表。カロル氏は「熱狂的な愛国心の権利は誰にでもある」と受け流すが、審査委員の一人は「実験の質を考えない全くばかげた内容だ」と不快感を示した。
ただ、既知の原子核の確認は、本来は新元素認定の要件だが、技術的に難しいため近年は必須条件とはされていない。114番と116番は、2011年に状況証拠だけで露米が認定されていたのだ。
元素に詳しい日本原子力研究開発機構の永目諭一郎副センター長(62)は「114番の前例から理研の認定はかなり難しく、露米に決まると思っていたので驚いた」と話す。質の高い完璧なデータをそろえた日本と戦った露米は、不運だったともいえる。
露米が113番を最初に合成したのは03年で、状況証拠を認定水準にまで磨き上げたのは13年。日本は最初の合成で1年出遅れたが、12年に決定的な物証を得て逆転勝利を果たした。

