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【世界王室物語-ノブレス・オブリージュ】デンマーク 多才な女王の挑戦 関東学院大教授・君塚直隆

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【世界王室物語-ノブレス・オブリージュ】
デンマーク 多才な女王の挑戦 関東学院大教授・君塚直隆

デンマーク女王・マルグレーテ2世(左)と歓談される天皇陛下=2004年11月19日、東京・元赤坂の迎賓館

 しかし史上初めての女王陛下を迎えたとはいえ、当時のデンマークの内情は厳しいものだった。世界中で学生紛争などが吹き荒れるなかで、デンマークの若者たちにとっても、王室は旧世代の遺物のように思われたのかもしれない。女王即位時の世論調査によれば、王政維持を支持する意見42%に対し、廃止を訴えるものは40%に達していた。

 ここに14世紀の女傑さながら、女王の挑戦が始まった。もともと彼女はコペンハーゲンで学問を修めた後、ケンブリッジ大学やパリ大学でさらに学究を極め、英仏独など5カ国語に通じる才女であった。身長も180センチを超え、スタイルも抜群で美しい女王は、王室御用達のドレスや毛皮も着こなすばかりか、自身もデザインを手がける美的感覚を備えていた。王立バレエ団の衣装をデザインしたこともある。さらに絵の才能は玄人はだしで、英国ファンタジー小説の傑作『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のデンマーク語訳の作業に加わっただけではなく、そこに見事な挿絵まで寄せている。そのでき映えは、原作者トールキンをもうならせるものであった。国民は彼女を誇りに感じるようになった。

 即位の5年前(67年)にフランスの外交官で伯爵家の御曹司ヘンリクと

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