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【書評】編集委員・久保田るり子が読む『日韓併合期ベストエッセイ集』(鄭大均編)

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【書評】
編集委員・久保田るり子が読む『日韓併合期ベストエッセイ集』(鄭大均編)

記憶のなかに物語がある

 歴史は学べるが記憶は語ってもらうしかない。記憶のなかには人々の物語がある。日本と韓国の歴史の相克、日本統治時代とはどんな記憶の集積なのだろうか。本書は日韓併合期に書かれたか、後年その時代を記したえりすぐりの随筆アンソロジーだ。搾取や収奪の告発や糾弾ではなく、市井の人々の楽しみや悲しみが描かれている。

 編者の鄭大均氏は、日本生まれの韓国系日本人であり日韓ナショナリズムの研究者として知られる。文明文化論の視点からアプローチした日韓問題の著書が多い。そんな鄭氏だからこそ、日韓併合期を一度イデオロギーから解放して、当時の日本人や朝鮮人の記憶から眺め直すことが、この時代を知るのに有用だと考えたようだ。

 収録されている43編は「子どもたちの朝鮮」「こんな日本人がいた」「出会い八景」「作家たちの朝鮮紀行」「朝鮮を見て、日本をふり返る」など7つのタイトルの下に多様な人々の作品が並ぶ。

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