産経ニュース

【文芸時評】1月号 オックスブリッジ流「頭の体操」に堪える文学がほとんどない 早稲田大学教授・石原千秋 

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【文芸時評】
1月号 オックスブリッジ流「頭の体操」に堪える文学がほとんどない 早稲田大学教授・石原千秋 

石原千秋・早稲田大教授

 いま日本の教育界をアクティブ・ラーニングという妖怪が跋扈(ばっこ)しはじめている。乱暴に言ってしまえば、課題を与えられた生徒がグループで議論するのである。教育学部の教員としてはその解説書も何冊か読んだし、教員としてアクティブ・ラーニングの研修を受けた教え子から話も聞いた。それで「自分の意見を持つ」ことに主眼が置かれていなければ、かなり有効な方法かもしれないと感じた。「自分の意見を持つ」ことを主眼に置くべきでないと考えるのは、この年頃で「自分の意見」を固めてほしくはないからである。「自分の意見」などつねに「とりあえず」のものでしかないという構えがないと、変化を受け入れられずに苦労するだけだろう。

 大学の「新国語教育講座」というオムニバスの授業でアクティブ・ラーニングのまねごとをしてみた。ヒントになったのは、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の面接問題を集めて解説したジョン・ファーンドン『あなたは自分を利口だと思いますか?』(小田島恒志、小田島則子訳・河出書房新社)、『ケンブリッジ・オックスフォード 合格基準』(同)である。実際に、ケンブリッジ大学の法学専攻では、「あなたは自分を利口だと思いますか?」という質問があったそうだ。当意即妙で気の利いた「答え」をしなければならない。要するに、イギリス人好みの頭の体操である。

「ライフ」のランキング