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【自作再訪】「完成感がないから、これまで続いてきたのかもしれません」 新川和江さん「わたしを束ねないで」

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【自作再訪】
「完成感がないから、これまで続いてきたのかもしれません」 新川和江さん「わたしを束ねないで」

「40代のころ、間もなく死ぬ気がして詩集を一気に書き上げた。今は100歳まで生きそうで心配」と話す新川和江さん(野村成次撮影)

ありふれた日常、気取らず新鮮に

 〈わたしを束(たば)ねないで/あらせいとうの花のように/白い葱のように/束ねないでください わたしは稲穂/秋 大地が胸を焦がす/見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂〉

 中学の国語教科書で初めて接した新川和江さん(86)の詩「わたしを束ねないで」。まだ何者にもなりえていない少女の胸にも、美しい日本語の響きとともにしみとおった。女性性を歌い上げた詩は、いまなお若い読者を得て、半世紀近く愛されている。(聞き手 永井優子)

                  

 最初は「わたしを縛らないで」だったんです。でも、それだと泥棒みたいだし、何かないかと考えているうちに、葱(ねぎ)なんかを束ねるって言うでしょ。だから「束ねないで」にしました。

 共感されやすいのは、歌の要素があって、読む人に呼びかけているから。各連が同じ形式で、心のリズムに乗ることができる。書かれていること自体は、他愛のないこと。私もまだ若かったから、あまり悩まずに書いていました。

 〈わたしを名付けないで/娘という名 妻という名/重々しい母という名でしつらえた座に/坐りきりにさせないでください わたしは風/りんごの木と/泉のありかを知っている風〉

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